私には3人の息子がいます。次男は幼い頃から聞き分けが良く、明るく優秀な自慢の子どもでした。ところが中学校3年生の後半から言葉づかいや態度が荒々しくなり、高校1年生の5月の連休明けから不登校になりました。

 話しかければ、「うるせー!」「何だこっち見るな!」「てめー!」といったあまりにも反抗的な言葉に、「親に向かってその言葉は何だ!」と主人と取っ組み合いになったこともありました。私は「あんなに良い子だったのに……」と途方に暮れ、幼稚園での勤務中も仕事が手につかず、心労で6キロ近く痩せてしまいました。そんな中、「何とかしなくては」という一心で、夫婦で教頭先生に相談に行きました。

「息子さんは必ずよくなりますよ」と優しく話す教頭先生は、生長の家の信仰をされていました。そして、「私を信じて、明日から始まる生長の家富士河口湖練成道場*1の一般練成会*2を受けて下さい。お母さんも一緒に受けるんですよ」と強く勧めて下さいました。
*1 山梨県南都留郡富士河口湖町にある生長の家の施設
*2 合宿形式で教えを学び、実践するつどい

 私は、「息子のためなら」と、迷いもなく仕事を休み、次男を連れて練成会に飛び込むように参加しました。こうして生長の家に導かれたのです。

『白鳩』信仰随想_No.161_画像1

イラスト/せのおりか

 10日間の練成会が始まり、「人間は神の子で、どのような現象が現れていても実相*3は完全円満」と説く講話は素晴らしく、3日目の「子どもを縛ってはならぬ。信じて放て」「神様に全托せよ」「子どもは親を選んで生まれてきた」という講話に心が震え、「ああせよ、こうせよ。あれはダメ、これはダメ」と次男を自分のものと勘違いして縛ってきていたことにハッとしました。
*3 神によって創られたままの完全円満なすがた

「ああ、私の縛る心が悪かったのだ」と反省し、すぐに次男に謝りました。すると、あれほど心配だった次男のことが嘘のように気にならなくなり、心がスーッと軽くなったのです。

 すると、次男の言葉や態度がコロッと変わり、以前のように「お母さん、お母さん」と明るくニコニコと話しかけるようになったのです。「自分が変われば、相手が変わる」と教わった通りの体験をして、素晴らしい練成会の10日間を過ごしました。

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 練成会から帰るとすぐに聖使命会員*4になり、『白鳩』誌や生長の家の書籍を購読し、母親教室*5にも参加して真理を学ぶ日々となりました。また、職場の園長先生に練成会の感動をお伝えしました。特に、子どもの美点を認めて、褒めて引き出す生長の家の教育法や、「和顔・愛語・讃嘆*6」「コトバの力」の素晴らしさを熱く語ると、「良い勉強をしてきましたね。ぜひそれを園で実践して下さい」と仰ったのです。
*4 生長の家の運動に賛同して献資をする会
*5 母親のための生長の家の勉強会
*6 なごやかな顔とやさしい言葉で、ほめること

 当時の私は主任教諭という立場もあり、すぐ職員の皆さんにこの生長の家の教育法を伝え、園児はもちろん職員にも「認めて、褒めて、引き出す」ことを実践し、「すごい! みんなできるんだよ!」という言葉を駆使した幼児教育に努めました。すると、園児ばかりか職員たちにも常に笑顔があふれ、子どもたちは健やかに育ち、園の雰囲気もとても明るくなって、毎年定員超えになるほどでした。

 次男はその後、回り道をしながらも色々な人生勉強を積み、今では得意な機械工学を生かし、エンジニアとして生き生きと働いています。反抗という姿を現し、私と主人を信仰の道に導いてくれた観世音菩薩*7の次男には、「ありがとう!」と手を合わさずにはいられません。
*7 周囲の人々や自然の姿となって現れて、私たちに教えを説かれる菩薩

廣瀬通子(生長の家地方講師)
生長の家白鳩会山梨教区連合会長。定年退職後、「わらべうたベビーマッサージ」の講師資格を取得し、子育て相談や母子の触れ合いに関わっている。