神経解剖学者のジル・ボルト・テイラー博士*1が、近著*2で穏やかな人生を送る方法を提案している。
*1 重篤の脳出血による左脳麻痺から復帰するまでの体験等を記した『奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき』(新潮社)の著者
*2 『WHOLE BRAIN―心が軽くなる「脳」の動かし方』(NHK出版)

 脳には、外側を包む大脳皮質(思考)と、その内側の大脳辺縁系(感情)があり、それぞれ左右均等に分かれている。左脳は排他的、効率優先、意識的であり、右脳は包容的、体験優先、無意識的などの特徴を持つ*3。博士はこうした脳の構造と自身の体験をもとに、脳は合計4つの異なる働きの細胞群で構成されているとして、それを「4つのキャラクター」と呼び、その特徴を明らかにしている。
*3 生長の家総裁・谷口雅宣著『宗教はなぜ都会を離れるか? 世界平和実現のために』(生長の家)

『いのちの環』No.157_悠々味読_メイン画像

イラストは筆者

〈キャラ1〉(左脳の大脳皮質)は、自我、リーダー的な性格、分析的、論理的な思考を担い、分類、整理整頓好き。
〈キャラ2〉(左脳の大脳辺縁系)は、脅威を査定して回避する役割、傷ついた子どものようで、不安、恐怖、怒りで暴走したり、自己嫌悪に陥りがち。
〈キャラ3〉(右脳の大脳辺縁系)は、今に集中し、無邪気、好奇心・遊び心に富む。
〈キャラ4〉(右脳の大脳皮質)は、すべてが宇宙の一部と感じているという。

 これらのキャラはさまざまな場面で顔を出す。例えば、身に危険が迫ると自動的に感情回路が刺激され、〈キャラ2〉が活性化して不安や恐怖に直撃される。ストレスは、こうした回路が何度も作動することで生じるのだそうだ。

 だが、この回路を作動させる化学物質は90秒足らずで血液中から洗い流されるため、呼吸に意識を集中すれば回路は停止するという。これらを含め、4つのキャラの協力法を詳述し、穏やかな人生実現の鍵を提案している。ストレスを軽減したいという人に一読を勧めたい。

三好雅則(みよし まさのり)  生長の家本部講師。昭和24年生まれ。生長の家参議長。趣味は読書、絵画・音楽鑑賞、水彩画。

三好雅則(みよし まさのり)
生長の家参議。趣味は読書、絵画・音楽鑑賞、水彩画。