日常生活は、朝起きて洗顔、歯磨き、朝食。その後、就業者は出勤、仕事、退勤、帰宅。仕事を持たない人は家事などを行い、それから夜になって入浴、夕食、就寝と、多少の違いはあってもほぼ同じことが繰り返される。それを支えているのが無意識の働きで、いちいち意識せずに事が運ばれるから有難い。

 その半面、マンネリ化し、毎日が色あせたものになりがちだ。だが、ちょっとした工夫や心がけで、生活に彩りが添えられる。

 私はジテツー*1をしているが、安全のため交通量の多い目抜き通りを避け、裏道を使っている。しかし、ある祝日、その目抜き通りに車がほとんど走っていないのに気づき、走ってみた。

『いのちの環』No.154_悠々味読_メイン画像

イラストは筆者

 ほぼ直線の道を行くと、空気も街並みも、旅先であるかのように新鮮に感じられる。その後、勤務先に向かうため脇道に入り、野川*2に出た。普段は川の北側の道を使っているが、この日は南側を走ってみた。

 すると急に青空が広がり、風に揺らぐオオエノコログサ、枯れ尾花などの群生が朝日を浴びて光っていた。さらに先に進むと瀬音の高鳴りが耳に響き、思わず自転車を停めて聞き入ってしまった。

 その時、自然はさまざまな姿を見せているのに、平板な日常に埋没していては、そのことに気づけないと改めて思った。

 本欄では、「感動する力」を高める方法として、自然の中に身を置く、小さい一歩を踏み出してみることなどについて紹介した*3。外出や出勤時、早目に家を出て、いつもと違う道を歩き、道端の雑草に心を寄せるなど、ささやかな変化を楽しんでみてはどうだろう。きっと事物が不思議に輝いて見えるに違いない。

*1=自転車通勤のこと
*2=東京都を流れる多摩川の支流でほぼ西から東に流れる
*3=『いのちの環』No.125(2020年8月号)「悠々味読114」参照

参考図書
生長の家総裁・谷口雅宣著『凡庸の唄』(日本教文社)
前野隆司著『感動のメカニズム 心を動かすWork&Lifeのつくり方』(講談社現代新書)他

三好雅則(みよし まさのり)  生長の家本部講師。昭和24年生まれ。生長の家参議長。趣味は読書、絵画・音楽鑑賞、水彩画。

三好雅則(みよし まさのり)
生長の家参議。趣味は読書、絵画・音楽鑑賞、水彩画。