食卓から「世界平和」を考えてみませんか
生長の家では「ノーミート、低炭素の食生活」を勧めています。それは、持続可能な社会を実現し、世界平和に貢献するため。
私たちの食生活がどう世界平和につながるのか、具体的になにを心がければよいのか、そして、実際に「ノーミート、低炭素の食生活」を実践する方を紹介します。
▪️肉食が環境破壊の原因に!?
鶏や牛、豚などの家畜を肥育するのに必要な穀物飼料の生産や、放牧地を拡げるために、今もなお多くの森林が世界の至る所で伐採されています。
森林の消失は地球温暖化を加速させ、また、いのちを尊ぶという観点や、さらに穀物が家畜の飼料となることで、飢餓問題の原因になっていることから、生長の家では肉類を使用しないノーミートの食事を通して、食卓から「世界平和」に心を向けることを提案しています。
▪️食のライフスタイルの転換を
持続可能な社会を実現するために、今、「ノーミート、低炭素の食生活」への転換が求められています。そのポイントは、次の3つです。
①地産地消
食材を購入するときは産地からの輸送距離に注意して、地域で採れたものや、加工されたものを選ぶようにしましょう。
②旬産旬消
温室などで栽培する季節外の野菜には、大量の化石燃料が必要となるため、旬の食材を意識することも大切です。
③オーガニック
化学肥料や農薬で他の生物を害していない、有機(オーガニック)食材の選択を心がけましょう。また、自然の恵みのありがたさを実感し、自然との一体感と感謝の気持ちを深めるために、無農薬、無化学肥料の家庭菜園、ベランダ菜園をお勧めします。
「地産地消」「旬産旬消」「オーガニック」の3つは、地球に生きるすべてのいのちを思い、持続可能な社会を実現するための「ノーミート、低炭素の食生活」のキーワードです。
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参考書籍:
『“新しい文明”を築くために2 食卓から未来を変える』
宗教法人「生長の家」(SNIオーガニック菜園部)編
日本教文社刊
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ルポルタージュ 日本篇
土と触れ合いながら、自然の恵みに感謝する毎日
T.S.さん │67歳│愛媛県宇和島市
取材/多田茂樹 写真/髙木あゆみ
米作りの傍ら野菜や花を育てて
「同じ四国でも、穏やかな瀬戸内海に面した愛媛県の県民性はおっとりした感じですが、お隣の高知県の人は、黒潮が流れる波の荒い太平洋に面しているためか、ダイナミックなところがあります。高知県にもほど近い宇和島市の人たちは、この2つの県民性をミックスした感じかもしれません」
そう笑いながら語るT.S.さんは、田畑が広がる農村地帯の一角に住み、夫と共に米作りをする傍ら、家の敷地内にある畑で野菜や花を育てている。
「毎朝、神想観(*1)を行い、聖経(*2)を読んでご先祖様に感謝の思いを伝えた後、窓から外を見ながら、『木よ、花よ、虫よ、ありがとうございます、ありがとうございます』とすべての生き物に感謝の祈りを捧げるのが日課です。今年の春にはサクラとウメが特にきれいに咲いたものですから、祈りが通じたように思って、ほんとうに嬉しくなりました」
玄関を出てすぐ横にある畑を案内してもらうと、パプリカ、ピーマン、トウモロコシ、人参、キュウリ、トマト、ズッキーニ、カボチャ、スイカ、ネギ、キャベツ、レタスなどのさまざまな野菜がすくすくと育っていた。その様子から、日頃、Tさんが丹精込めて手入れしていることがよく分かる。
「もう若くはないので、畑仕事も休み休みしながらしていますが、土を触ると大地から活力をもらった気がして疲れも飛んでしまい、さあ、また続けようという気持ちになって、ついつい長居してしまいます」
夫のギラン・バレー症候群が癒(いえ)る
現在、生長の家白鳩会(*3)愛媛教区連合会の要職を務めているTさんが、生長の家の教えに触れたのは、大阪で働いていた26歳の時。職場の人間関係で悩み、昔からの信徒だった母親に相談すると、『生命の實相』(生長の家創始者・谷口雅春著、全40巻。日本教文社刊)などの生長の家の書籍を送ってくれた。
そこに書かれてあった「人間は神の子である」「環境は心の影」という教えを知り、相手を神の子として拝むことで悩みが解消した。教えをもっと深く学びたいと思い、生長の家青年会(*4)に入って伝道にも励むようになった。
「30歳の時に友達の紹介で知り合った主人と結婚し、長男、次男に恵まれました。今、子どもはそれぞれ独立し、長男は結婚して4人のお父さんになっています。何より嬉しいのは、長男の4人の孫たちが、オンラインで開催される生長の家の集いに参加してくれていることですね」
そう目を細めるTさんだが、平成14年、夫が免疫の過剰反応により運動神経系が衰え、体を動かすのもままならなくなるギラン・バレー症候群を発症するという出来事に見舞われた。
「突然のことに気が動転してしまいましたが、私にできるのは祈ることしかないと思い、神癒祈願(*5)をお願いした上で、病に冒されていない、『完全円満な神の子』としての主人の実相(*6)を祈り続けました。すると、4カ月ほどの闘病を経て、主人はすっかり元気になったんです。その姿を目の当たりにして、一層信仰が深まりました」
段ボールコンポストで堆肥作り
Tさんは、野菜を作る時も化学肥料は使わず、残飯や野菜くずなどを段ボールコンポストに入れて発酵させたものを肥料にして使っている。
「こうすると、悪臭や虫が発生すると思われがちですが、毎日丁寧にかき混ぜて新鮮な空気を入れてやると、そんなことはほとんどないんです」
その言葉通り、段ボールコンポストに手を入れると、匂いもなければ虫もいない、さらさらとした有機肥料が出来上がっていた。
「ピートモスともみ殻くん炭を入れ、その中に生ゴミを混ぜています。米ぬかを加えると、発酵が促進されて、なおいいかもしれません。時期によっては、中が発酵の熱で温かくなって、段ボールが汗をかくくらいです。それを見ていると、ああ、みんな生きているんだなと感動します」
こうした楽しい野菜作りの様子や収穫した野菜を使ったノーミート料理をSNIオーガニック菜園部(*7)のFacebook グループに投稿し、多くの反響を呼んでいる。
Tさんは最近、見るのも嫌だった虫やヘビに対する苦手意識が消えたと感じている。
「畑を始めた頃は、虫やヘビを見るたびに大騒ぎしていたんですが、『大自然讃歌』(生長の家総裁・谷口雅宣著、生長の家刊)を熱心に読むようになってから、だんだん意識が変わっていきました。この世界は、いろんな生物が与え合い、支え合って生きている生命共存の場であり、虫やヘビも大切な存在なんだと分かってからは、虫やヘビを見ても、怖がるどころか、なんてありがたいんだろうと思えるようになったんです」
そんな心境になり、ますます畑仕事が楽しくなったという。
「新型コロナ感染拡大のため、信徒の皆さんと直接お会いする機会は減りましたが、その代わり、インターネットでさらに多くの方々と交流できるようになったので喜んでいます。これからも楽しく野菜作りに励んで、ノーミート料理をいただき、できるだけ二酸化炭素を出さない生活を続けていきたいと思います」
*1=生長の家独得の座禅的瞑想法
*2=生長の家のお経の総称
*3=生長の家の女性の組織
*4=12歳以上39歳未満の生長の家の青年男女の組織
*5=神の癒しによって、問題が解決するように祈ってもらうこと
*6=神がつくられたままの完全円満なすがた
*7=SNIオーガニック菜園部は、生長の家が行っているPBS(プロジェクト型組織)の1つ