コロナ禍を、家族が愛を表現し、温かな関係を築く機会にしましょう

 
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コロナ禍によって強まった家族愛

 
 この特集に登場された豊嶋君子さんは、コロナ禍をきっかけに娘さんやお孫さんとのネット交流が始まりました。その結果、ご家族の絆が一層深まり、かけがえのない当たり前の日々のありがたさを実感するようになりました。

「家族愛に関する調査2021」(「ジブラルタ生命調べ」)によると、コロナ禍で家族の距離が「縮まった」と答えた人(35.6%)は、家族の距離が「拡がった」と答えた人(5%)を上回り、また、コロナ禍で家族を守りたい気持ちが「強まった」は48.1%で、「弱まった」の2.6%を大きく上回る結果が報告されています。
 * ジブラルタ生命ニュースリリース(2021年12月22日)
 https://www.gib-life.co.jp/st/about/is_pdf/20211222.pdf

 コロナ禍の私たちは、家族の命や健康を守るために、旅行や帰省、外出を自粛するなど、不自由な状況を強いられました。その一方で、家族に対する理解の深まりや、家族を思いやる気持ちの変化につながっていることを、この調査結果は示しています。

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野に咲く花のように

 
 コロナ禍では、仕事や日常生活で様々な悩みやストレスを感じ、気持ちが沈んでしまうこともあるかと思います。そんな時ほど、家族が向き合い、互いに助け合い、支え合うことが、困難を乗り切る後押しになります。

 生長の家では、この世には類をもって集まるという「親和の法則」があり、とりわけ家族というのは、似た心(潜在意識も含めた「心」)の人が集まっていると説きます。

 だからこそ、野に咲く花が花びらを寄せ合い、重なり合って美しく咲くように、家族同士がお互いに助け合い、心を寄せ合い、感謝し合って、よろこびの人生をつくり上げることが大切なのです。

 コロナ禍という困難な状況は、家族が愛を表現し、互いの結びつきを強め、温かな関係を築く絶好の機会です。その具体的な方法の一つとして、私は絵手紙で家族に愛を表現する「絵手紙で喜びを拡げよう!」と題した講話ビデオ(Facebook)を発表しました。ぜひご覧ください。
(田中明憲・生長の家本部講師)
 


 

【手記】コロナ禍のなか、寄り添い続けてくれる家族に感謝

 

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撮影/髙木あゆみ


豊嶋君子(63歳)
島根県安来市

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 毎年、娘たち家族の帰省は、心待ちにしている私たち夫婦にとって、何よりも元気の源となっています。

 コロナ禍のこの数年は、連休があっても会えない時期があり、そんな時にはパソコンやスマホのテレビ電話やメールが活躍しています。私の生活でもIT機器の操作が必要となり、パソコンも使えるようになりました。コロナ禍を経験したからこそ、そうした向上心を引き出してもらえたのだと感じています。

 長距離移動せず、ネットを使って大切な家族の顔を見ながら話ができる便利さも実感しました。それでも久しぶりに会えた時は、元気で帰って来てくれたことだけで有り難く、嬉しく思います。

 3人の孫には、娘たちにもしてきたように、「○○ちゃんは神の子、光の子。いつもニコニコ明るい子。何でもできます、強い子、よい子」と、おまじないのように生長の家の讃嘆の言葉を掛けています。孫たちの無邪気な笑顔に目を細め、可愛い手の温もりに癒され、その傍らには微笑む家族の顔があると、心から幸せを感じます。

『白鳩』特集2_155_写真実母の影響で着物好きが高じ、着付け教室を開いている(撮影/髙木あゆみ)

 普段の私は自宅での着付け教室があり、一日の終わりに落ち着いた時間が取れたときは、手持ちの布を使って衣類や小物作りをしています。特に誰かのために針を持つときは、余計に楽しく心和む時間になります。孫たちの夏の帰省に合わせて、娘たちの服をリメイクした遊び着を準備するのが私の楽しみの一つで、年々変わる寸法に成長を感じてきました。

「これは、元は○○ちゃんのお母さんのスカート。これはTシャツだったんだよ」と懐かしい思い出話をしながら着せると、娘も孫もとても喜んでくれて、それが励みになり、また頑張れる気がします。

コロナ禍の夏の思い出

 
 コロナ禍が始まった令和2年の夏、地元の花火大会に着ていくためにと、孫に浴衣を縫って準備し、家族で楽しみにしていました。しかし、コロナの感染拡大で花火大会は中止となり、さらに次女の夫が医療従事者のため次女の家族は帰省できず、長女の家族だけが帰ってくることになりました。

 長女の一人娘は、その時、小学校3年生でしたが、コロナ禍の日常から自粛の必要性を学んだこともあり、すんなりと花火大会の中止を受け入れました。でも、浴衣だけでも着たいと言うので着付けると、自分で浴衣用の帯締めを結び、きれいに結べたととても嬉しそうでした。

 ポーズを取って写真にも残し、花火見物とはまた違う楽しい思い出が作れました。その夜は、次女家族ともテレビ電話を通じてお互いの元気な姿を見ながら、近況を報告し合う楽しい夜になりました。

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「インターネットを使って、大切な家族の顔を見ながら話ができるのはとても幸せです」(撮影/髙木あゆみ)

 昨年(2022)の夏は、コロナ禍でどこにも行けないなら、夏休みは私と一緒にいたいという孫娘の希望で、夏休みの間ずっとわが家で過ごしました。孫娘にはプランターで育てている野菜のお世話を手伝ってもらいました。

 毎朝水やりをしながら生長ぶりを観察し、やがて大きくなったピーマンやなす、きゅうりの収穫を喜ぶ孫娘の姿に、育てることや食べることの大切さを感じてくれたと嬉しくなりました。

 孫娘が暮らす広島は原爆が投下された地であり、学校で戦争や原爆の話を聞く機会が多いようで、私に詳しく説明してくれました。ウクライナの悲惨なニュースにも孫娘は心を痛めていましたので、二人で図書館に行って、ウクライナの絵本と小学生用の原爆の本も借りて帰り、毎晩一緒に読みました。

 何倍も長く生きている私と孫娘の思いは同じで、ウクライナの絵本から伝わってくる遥か遠くの温かい心を持った人々に心を寄せながら、あらためて命の尊さを思う貴重な時間となりました。そして、孫娘の優しい心を褒めながら、同時に誰もが皆、平和を願い、人を思いやる気持ちを育んでくれればと感じました。

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うつ病から立ち直る

 
 コロナ禍が始まり、娘たちの家族と会う機会が減ってからは、長女も次女も私が元気かどうかを常に気にしてくれて、「お母さん、落ち込んでない?大丈夫?」と、よく連絡をくれます。娘たちが必要以上に私のことを心配するのは、私が過去にうつ病で苦しんでいたことがあったからでした。

 私は24歳の時に主人と出会い、結婚しました。同居する義母は精神的に不安定なところがあり、特に季節の変わり目は義母の言動に戸惑い、私の心は重くなるばかりでした。

 そのような鬱々とした日々の中では、『白鳩』誌を読むことが心の支えとなりました。職場の方に勧められて読むようになったのですが、『白鳩』には、私と同じように義母との関係に悩みながらも解決に向かっていった体験談がよく掲載されており、読むたびに勇気づけられました。

『白鳩』の明るい言葉が励みとなり、「私も頑張らなければ」と気持ちを立て直し、仕事、家庭、子育て、そして義母への対応にと、忙しい日々が過ぎて行きました。

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 そんなある日、高校1年生の長女に慢性糸球体腎炎という腎臓の病気が見つかったのです。腹痛を訴える娘の表情を見ると、「私が鬱々とした心でいるせいで、この子をこんな病気にしてしまった」と自分を責め続け、日頃のストレスも重なって、私自身が暗い心の病気へと向かっていきました。

 夫の配慮で、私と娘たちは実家の両親のもとで暮らすことになり、心療内科を受診すると、うつ病と診断されました。完治するまでには何年もかかりましたが、夫に助けられ、知り合いの畑の手伝いに一緒に出かけて、太陽のもとで汗を流したりしていると、次第に心から笑えるようになっていきました。

 以前より声を掛けていただいていた地元の誌友会*1にも参加させてもらうようになり、講師の話される真理の言葉の数々に感動をもらいました。なかでも、「自分の周りに展開する世界は、自分の心がつくる“唯心所現(ゆいしんしょげん)の世界”で、心を明るく変えれば環境も明るく変化していきます」という言葉が心に響きました。
 *1 教えを学ぶつどい

 その頃、導かれるように開いた『生命の實相』(生長の家創始者・谷口雅春著、日本教文社刊。全40巻)第1巻の冒頭に、「生命の実相*2の自性円満(そのままでえんまんなこと)を自覚すれば大生命の癒力(なおすちから)が働いてメタフィジカル・ヒーリング(神癒)となります」という一節があり、「そのままでえんまんなこと」という振り仮名の言葉に光を見たように感じ、安心感と一緒に自責の念から解放され、感謝の思いでいっぱいになりました。
 *2 神によって創られたままの完全円満なすがた

 すると、どんな時にも常に神様が守っていて下さっている、私には温かい家族があり心の居場所がある、という思いで満たされていきました。

 そして、私の回復をずっと待ち続けてくれた夫や、寄りそってくれた娘たち、温かく見守っていてくれた両方の両親……、その一人ひとりを思い浮かべ、有り難いという想いが溢(あふ)れてきました。その後、私の心が明るくなるにつれて、長女の腎臓病も回復していったのです。

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大切な孫たちから定期的に送られてくる手紙(撮影/髙木あゆみ)

深まる家族の絆

 
 義父母が他界した今も、私にはかけがえのない家族があり、孫という新しい命も増えました。その命はご先祖様から受け継がれてきた命であり、未来のある尊い命です。

 毎週末に娘たちから送信されてくる、それぞれの家族の動画やメッセージからは、誕生日や運動会などの特別な行事だけでなく、何気ない日常の様子が垣間見え、笑い顔や泣き顔、ふとした表情に一喜一憂し、思わず「みんな元気でありがとうね」と手を合わせながら、娘たちの心づかいを有り難く感じています。

 現象的にどのような悪が現れていようとも、その奥にある「神が創られたままの実相世界には悪は存在せず、一切は善である」と生長の家で教えられています。コロナ禍で憂い顔になりがちな今こそ、与えられている恵みに感謝し、笑顔で前を向くことで、互いを思いやる優しい心が育まれ、ますます絆が深まっていくのだと思います。

 孫娘からの手紙には家族の似顔絵と共に、「次のお休みには、きっと帰るからね。それまで元気で待っていてね!」と綴られています。そんな手紙は私たち夫婦の宝物となり、家族という温もりをしみじみと感じながら、コロナ禍に生きる先にも希望を感じる感謝の日々です。