75歳の父は、3年ほど前に認知症となり、それから性格が豹変(ひょうへん)してしまいました。穏やかで声を荒らげたことなどなかったのですが、今は母や私、妹にもささいなことで当たり散らすようになりました。病気なんだから仕方がないと思いながらも、昔の父とあまりにも違う姿を目の当たりにして、悲しいやら悔しいやらでどうしてあげたらいいか分からず、家族で悩んでいます。(45歳、男性)

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 恩返しのチャンスと思い、愛を実践しましょう

 認知症になってお父様の性格が変わってしまい、以前の穏やかな姿とは大きく違う姿を見るのはとてもお辛いことでしょう。実は私の父も、認知症ではないですが、晩年に精神疾患を患い、人格が変わったように攻撃的になったことがありました。

 戸惑いながら家族で介護していたのですが、ある日、手足が不自由な父をお風呂に入れてあげたとき、想像以上にやせ細ったその体を目の当たりにして衝撃を受けました。そして、これまで家族を支えてきてくれた父の有難さ、家族以上に父が一番苦しんでいることを実感し、唯々(ただただ)父を受け入れて寄り添うしかないと思ったのです。

 あなたのお父様も、認知症の影響で記憶力や判断力が衰える中、自分を失っていく不安や恐怖、寂しさが苛立ちとなって現れているのかもしれません。そのような姿を見て、悲しみや悔しさを感じていらっしゃると思いますが、今回の介護の機会を「恩返しのチャンス」「愛を表現するチャンス」と捉え直してみてはいかがでしょうか。

 お父様は、あなたが子どもだった頃、たとえ反抗的な態度をとっても、お母様と協力し、常に愛深く見守り、支えてくれていたはずです。今度はあなたが、その愛を実践する番です。不快な言動で傷つけられることもあるかもしれませんが、それは、これまでお世話になったお父様としっかり向き合う貴重な機会でもあります。

 生長の家では、人生に起きるさまざまな出来事や肉体的な症状は現象であって、その奥には、完全円満な神の子としての本当の姿、実相があると説いています。ですから認知症として見えるお父様の現象がどうあろうとも、愛が溢(あふ)れる本来の優しいお父様を心に描きながら愛を実践し、心を尽くして介護をしてみてください。そうすることで、親子の絆が一層深まると思います。
* 神によって創られたままの完全円満なすがた

回答者:竹嶋裕之
(生長の家本部講師補)

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