社会のなかで、私たちは独りで生きていくことはできません。家族が大切であるのはもちろんのことですが、充実した人生を歩むのに必要なのは良き友を持つことです。なぜなら、良き友は、私たちの美点を引き出してくれるありがたい存在だからです。

hidokei_kaisetsu_1

自分を信じてくれる友がいることの幸せ

 
 私たちは“神の子”として、内に無限の可能性を宿しています。しかし、どんなに大きな可能性があっても、それを現象界で表現するためには「認める」ことが必要です。愛する者のみが、相手の美点を認め、引き出すことができる。それができるのが友人なのです。

 この広い世界で自分を信じてくれる友がいるというだけで、どれほど心強いことでしょうか。また、明るい友の雰囲気は、いつの間にか私たちを感化して希望への道へと導いてくれます。

hidokei_kaisetsu_2

 私にも、大切な友人がいます。彼とは高校卒業後、浪人生だった頃に出会いました。人生初の挫折。進路に悩む私に対して、彼は「建築家になる」という夢を熱く語り、それに共感した私は同じ進路を選びました。それぞれ別の大学へ進学しましたが、その後も互いの存在が大きな励みになりました。

 また、信仰を通じて出会った友人も大切な存在です。生長の家青年会*1の仲間とは、沢山の理想を語り合いました。普段はそれぞれの地元で活動しながら、再会した際には近況を報告し、お互いが良き理解者として讃嘆し合いました。
*1 12歳から39歳までの生長の家の青年男女の組織

 時には、悩みを打ち明けることも。どんな時も現象の“悪”を見ず、神性のみを観てくれる存在。そんな友人が私の内なる可能性を信じ、認め、引き出してくれたお陰で、今の自分があるのだと思います。

hidokei_kaisetsu_3

良きコトバが良き友を呼ぶ

 
 では、どうしたらそんな友人を得ることができるのでしょうか? 進級や進学で環境が変わり、「友達が欲しい」と思っている人も多いでしょう。周りに少しずつグループができ始めると、淋しく感じるかもしれませんね。

 しかし、焦る必要はありません。「与えよ、さらば与えられん」が心の法則ですから、「良き友を得たい」と思うならば、まず自分が良き友となればよいのです。深切を与える友、励ましや勇気を与える友、相手の美点を惜しみなく讃嘆する友に自分自身がなりましょう。

hidokei_kaisetsu_4

 また、「類をもって集まる」というのも心の法則です。良くも悪くも同じ波長の人たちが周囲に集まり、その人たちの波長によって、自分も明るくもなれば暗くもなるし、粗暴にもなれば温和にもなります。

 だから、私たち自身が良き波長を持つとともに、内面を磨くことが大切です。前述の友人は、私自身が夢に向かって歩み、あるいは真理を求め学んだからこそ出会えた存在なのです。

 そのためには、「身・口・意」によるコトバの力*2を明るい方向に使うことです。明るく積極的な考え方や信仰を持ち、夢や理想を語り、さらに明るい表情や人のためになる行動を心がけることです。そうすれば、きっと一番良い時期に、あなたにとって必要な友人が現れ、充実した人生を共に歩んでくれることでしょう。
*2 コトバには善きにつけ悪しきにつけ、物事を成就する力があると生長の家では教えている。ここでいうコトバとは、口から発する言葉のほかに、思念や表情も入る

………………………………………………………

松井雅永(まつい・まさなが)
生長の家本部講師

生長の家十勝教区教化部長。元生長の家青年会副会長。趣味は自転車で、高校生の子どもとロードバイクで駆けるのが目下の楽しみ。