前回、バーチャル・リアリティ(VR)*1を使って自己イメージをマッチョやガリガリに痩せた人物に変えることで、潜在能力が引き出されたり、制限されたりすることを紹介した。
*1 コンピュータを用いて人工的な環境を作り、そこにいるかのように感じさせること。仮想現実
別の実験では、被験者が鏡を模したディスプレイ(画面)の前に座って、画面上の自分の顔を操作して笑顔に変えると、操作した本人の顔が本人の意思とは関わりなく笑顔になって明るい気持ちに、画面の顔を悲しい顔に変えると暗い気持ちになった。*2被験者が「これが自分だ」と錯覚した自己イメージの通りに身体が反応し、それに伴う感情が引き出されたのだ。
*2 2022年放送のNHKBSプレミアム「ヒューマニエンス『“バーチャル”無いものをあると思える力』」
楽しくなくても、口角を上げて笑顔を作ると、脳が騙されて楽しくなるのは周知の事実だが、この実験では、自己イメージを差し替えた(笑顔、悲しい顔)だけで同じ結果を得られたわけで、身体は自己イメージに大きく影響されることが分かる。
私たちは、日頃、気づかないうちにさまざまなイメージを抱き、それを継続していることがある。しかし、身体は自己イメージに大きく左右されることを思えば、落ち込んだり、悩んだりした時に、そのイメージを継続したら、それが身体に影響を与え、不調を来したりするのは当然だ。
その意味で、毎日その日を振り返って、嬉しかったこと、楽しかったこと、有難かったこと、感動したことだけでなく、辛かったことでもそこに光明面を見つけて記す『日時計日記』(生長の家白鳩会総裁・谷口純子監修、生長の家刊)は、肯定的な自己イメージを強く心に印象づけるための、極めて有効なツールであることがよく分かる。
参考図書
●生長の家総裁・谷口雅宣著『太陽はいつも輝いている』(生長の家)
●古屋晋一著『ピアニストの脳を科学する』(春秋社)他
三好雅則(みよし まさのり)
生長の家参議。趣味は読書、絵画・音楽鑑賞、水彩画。