地域に密着した無料の食堂
4月27日、ゴールデンウィークの始まりを告げる晴天の下、松山市郊外の生長の家愛媛県教化部*1では、朝から白鳩会*2のメンバーたちが「オープン食堂」の準備に取りかかっていた。
*1 生長の家の布教・伝道の拠点
*2 生長の家の女性の組織
昨年初めから始まったこの取り組みは、地球環境への配慮から肉を使わず、無農薬野菜を中心とした健康的な料理を地域の人々に無料で提供している。

香ばしいヨモギの天ぷらと野菜かき揚げがどんどん仕上がっていく
昨年3月のプレオープンでは、改修を終えたばかりの教化部別館「スマイルハウス」で教区の信徒を対象に試行。好評を受け、翌4月から本格的にスタートした。初回から積極的な広報活動を展開し、町内会長をはじめ、地域の人たちから「とてもおいしかった」との声が寄せられた。中にはレシピを求める人もおり、調理スタッフの喜びもひとしおだった。

この日の献立は、筍ごはん、春のかき揚げ天ぷら、ワケギぬた和え、ワラビ山菜和え、若竹汁、牛乳かん
その後、真夏を除いて毎月開催し、回を重ねるごとに来場者は増加していき、12月には25名の地元の人たちが訪れた。町内会の人や近隣のガソリンスタンドのオーナー夫妻、民生委員なども来場し、着実に地域に根付きつつある。
大盛況のオープン食堂
この日の厨房では、調理責任者の橋本富子さんが、炊きたての筍ご飯の熱を冷ましていた。地元で料理指導も行うプロ級の腕前を持つ橋本さんを中心に、スタッフたちはサツマイモやヨモギの天ぷら、野菜かき揚げ、ワケギぬた和え、若竹汁などを彩り豊かに仕上げていく。

厨房では朝早くから白鳩会メンバーが集まり、手慣れた様子で食事の支度をしていた
玄関先では、SNIクラフト倶楽部*3のメンバーが季節に合わせた鯉のぼりのクラフト製作に取り組み、駐車場では男性スタッフが幟を立てて来場者を迎える準備を進めていた。
*3 生長の家が行っているPBS(プロジェクト型組織)の一つ

スマイルハウスの入口にある看板も、手作りの温かい雰囲気
オープン時間の11時30分を待たず、11時過ぎから早々と来場者が姿を見せ始める。12時頃には屋内の6人掛けテーブル6つと、6人掛けのテラス席がほぼ満席となり、入れ替わり立ち替わりに人々が訪れては料理を楽しんだ。最終的な来場者は100人を超え、大盛況となった。
心温まる交流の場
来場者の年齢層は幅広く、高齢者から若者、子どもたちまで、それぞれのテーブルで楽しい会話が弾んだ。

健康的でおいしそうな料理に、「どれから食べようかしら」とわくわくする
料理の感想を尋ねると、「本当においしくて、毎回楽しみに来ている」という声が多く、「肉を使っていないことに気づくのは食べ終わってから」という声もあり、肉を使わないノーミート料理のおいしさに満足している様子だった。
運営スタッフの白鳩会メンバーは「四国にはお遍路さんをもてなす“お接待”の風習があります。その温かい心で、皆様をお迎えしたい」と語る。

クラフトコーナーでは、季節に合わせ、小さな可愛い鯉のぼりが作られていた
来場者たちは食事の後、鯉のぼりのクラフト作りを楽しみ、「また来ようね」と笑顔で帰路についた。愛媛教区のオープン食堂は、これからも地域の心のよりどころとして、ますます発展していきそうだ。

スマイルハウス玄関前に置かれている花は、自由に持ち帰ることができ好評だった
取材/多田茂樹 撮影/堀 隆弘
回を追うごとに、地域に溶け込むのを感じています
渡部江利子(わたなべ・えりこ)さん
生長の家白鳩会愛媛教区連合会長
教化部の近隣の方々との交流を大切にしていて、初回のオープン食堂には、町内会長さんもお見えになられ、とても好評でした。今では町内会長さんも常連のようになってくださり、電気自動車の充電に来る方もリピーターになられました。地域の民生委員の方も、私たちのオープン食堂の取り組みに大きな関心をもたれて、チラシを持ち帰って下さいました。私たちの取り組みへの理解が広がっているのを実感しています。
地域の皆さんに親しんでいただければ嬉しいです
渡邊 隆(わたなべ・たかし)さん
生長の家愛媛教区教化部長
地域に密着し、どなたでも訪れることができる食堂をめざして、オープン食堂を毎月開催しています。声をかけ合ったり、助け合ったりする社会の再生の一助となればと思っています。教化部別館「スマイルハウス」は、オープン食堂の開催だけでなく、信徒の皆さんのクラフト作品や俳句なども展示しており、食事や文化を楽しめる空間となっていますので、地域の方々に親しんでいただければ嬉しいです。
生長の家愛媛教区オープン食堂
●住 所:愛媛県松山市南高井町1744-1 生長の家愛媛県教化部
●電 話:089-976-2131
●奉納金:一口50円(二口以上随意)