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自宅前で夫の敏広さんと。安達さんは三菱エクリプスクロスPHEVを購入した(写真/堀 隆弘)

安達由紀子さん(58歳)
千葉県船橋市
取材/原口真吾(本誌)

電気自動車の魅力

 
 閑静な住宅街にある安達由紀子さん宅を訪ねると、真新しいプラグインハイブリッド車*1(PHEV)が駐車スペースに停められていた。昨年(令和4)11月に購入したこの車の充電には、自宅屋根に設置されている太陽光発電パネルで作った電気を使っている。
*1 コンセントから充電することができるハイブリッド車

「生長の家が勧めている自然と調和したライフスタイルを実践できて、何より太陽の恵みだけで車を走らせているという感覚が、とても心地良いんです」

 平成18年から太陽光発電パネルを設置し、3年前には太陽光発電で作った電気をためる蓄電池も購入したため、夜間に使う電気の一部も自然エネルギーでまかなえるようになった。そんななか一番気になっていたのは、自動車に使うガソリンだったと由紀子さんは言う。

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「発進から停止まで、動きがなめらかだと感じます。『太陽の恵みで走っている』と思うと、自然とよろこびが湧いてくるんです」(写真/堀 隆弘)

「環境の悪化につながる化石燃料を使っていることに、いつも後ろめたい気持ちがありました」

 電気自動車に買い換えることを夫婦で話し合ったこともあったが、航続距離や外出先での充電インフラに難があるため、夫の敏広さんは購入はまだ先だと思っていた。そんな昨年のある日、ガソリンで発電しながら電気で走る方式のハイブリッド車を運転する機会があり、考えが変わったと敏広さんは言う。

「発進するとき、ガソリン車のようにアクセルを踏んでからスピードに乗るまでの一呼吸がないんです。反応が良く、キビキビ走るので魅力を感じました。ただ、完全な電気自動車への買い換えは、航続距離や充電設備の不足などの面から、まだ時期が早いというのが正直なところで、そうなると、いざという時にガソリンでも走るプラグインハイブリッド車が、現時点では最も理に適った選択だと思い、この車の購入を決めました」

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トランクには100Vのコンセントがあり、充電式でない掃除機などが使える(写真/堀 隆弘)

 由紀子さんが、さらに言葉を継ぐ。

「静かで加速も良く、カーブも安定していて、ブレーキの効きが良いのも、安心感があって嬉しいポイントです」

 電気で約57キロ走ることができ、買い物やジムに行くときなどの日常使いには十分で、20キロ離れた生長の家千葉県教化部*2も往復できる。帰宅後は太陽光発電で充電し、日が落ちると蓄電池からの充電に切り替える、というサイクルで車を走らせている。
*2 生長の家の布教・伝道の拠点

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自宅の屋根に設置されている太陽光発電パネル(写真/堀 隆弘)

エコは地球への献資

 
 由紀子さんは子育てに悩んだことがきっかけで、生長の家の教えを学び始めた。母親教室*3に参加し、「夫婦が調和して家庭が明るいことが、子育てでは最も大切である」ということを学んだ。敏広さんに感謝が足りていなかったことに気づき、心から反省したとき、家庭の雰囲気が明るく変わった。
*3 母親のための生長の家の勉強会

 その後も熱心に教えを学び続け、地方講師*4の資格取得をめざすようになった平成18年頃のこと。「地球のすべてのものは、動植物だけでなく鉱物も菌類も、神のもとに一体のいのち」であり、すべてに感謝して拝みながら生活することの大切さが心にしみ、涙がこみ上げてきた。
*4 教えを居住地で伝えるボランティアの講師

「私は沖縄本島中部の読谷村(よみたんそん)で生まれ育ちました。小学生の頃に初めて見た海の底は、色とりどりの珊瑚に彩られていて、竜宮城という言葉がピッタリの美しい光景でした。でも、社会人になった時には、多くの珊瑚が死んでしまい、色のない海になっていたんです。その原因は家庭からの生活排水だと知り、私たちの無関心がこの現状を生み出しているんだと、ショックを受けたことを思い出しました」

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帰宅したら太陽光発電パネルの自然エネルギーで充電(写真/堀 隆弘)

 自宅に太陽光パネルを設置し、環境に負荷をかけない生き方に転換していきたいと考えていた時、ちょうど太陽光発電のセールスマンが訪れた。さっそく敏広さんに話を持ちかけたが、当時はまだ価格が高く、どう試算しても設置費用の回収は望めそうになかった。

「あと数年待てば価格も安くなると知り合いからも言われたんですが、夫の『これは地球への献資だ!』という一言で、設置に踏み切ったんです」

美しい地球を残すために

 
 生長の家の相愛会員*5である敏広さんは、信徒仲間と共に地域の神社の清掃ボランティアを行っているが、今年(令和5)3月、境内に電源がなく、剪定に使う電動の園芸バリカンやチェーンソーが使用できないという事態に直面した。そのとき、新しく購入したプラグインハイブリッド車にコンセントが付いていることを思い出した。
*5 生長の家の男性の組織

「延長コードをつなげて車から電気を取り出し、バリカンやチェーンソーを3台同時に動かし始めたので、電気が持つか心配になりました。でも、作業が終わるまで何事もなく、車のバッテリーもほとんど減っていなかったんです。これは災害時にも安心だと頼もしくなりましたね。将来的には電気自動車の電気を自宅で使えるようにする、V2H(ブイ・ツー・エイチ)の導入も視野に入れています」

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自宅脇に設置された蓄電池。東日本大震災の際、停電を経験しただけに、安心感があるという(写真/堀 隆弘)

 環境に負荷をかけず、美しい地球を未来に残すことに貢献している嬉しさがあり、災害時にも強い。そんな電気自動車の魅力を伝えるため、3月下旬に信徒仲間や近所の人たちに声をかけ、夫婦でお花見試乗会を2回開いた。

「『子どもたちにきれいな地球を残すために、電気自動車を考えてみます』と、来てくださった方は前向きに話してくれました。実際に乗ることで、クリーンなエネルギーで車を走らせるすがすがしさを、一人でも多くの人に味わってもらいたいです」
由紀子さんは花のような笑顔で、将来の希望を話してくれた。

本誌ではこの記事の他、今月号の特集「私の暮らしと電気自動車」に関連して、太陽光発電と電気自動車を結ぶV2Hとはどのようなものか、V2H導入のメリットや、V2Hに対応した車種など、役立つ情報をご紹介しています。
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