木津幸雄(きづ・ゆきお)さん│61歳│新潟県長岡市 取材/佐柄全一 写真/堀 隆弘

木津幸雄(きづ・ゆきお)さん│61歳│新潟県長岡市
20年にわたり「長岡まつり大花火大会」で、花火の写真を撮り続けている木津さん。「最近は、草花の写真もよく撮影するようになりました」
取材/佐柄全一 写真/堀 隆弘

 日本の夏の風物詩として知られ、毎年、全国各地で開かれる花火大会。中でも有名なのが「三大花火大会」で、そのうちの一つ、新潟県長岡市の「長岡まつり大花火大会」には、大勢のカメラマンが詰めかけ、夜空を彩る花火の撮影に興じる。

「残念ながら、去年と今年は、新型コロナの感染拡大で花火大会が中止になりましたが、毎年8月2日~3日に、全国から100万人もの観客を集めて開かれます。私も子どもの頃からの熱烈な花火ファンなんですよ」

 そう笑顔で語る木津幸雄さんは、JR長岡駅前で妻の恵子さんと理容店を営む傍ら、20年前からアマチュアカメラマンとして花火の撮影に勤しんでいる。

 これまで、毎年のように市主催の「長岡まつり写真コンクール」に写真を出品し、最高栄誉の大賞を3度も受賞。そのいずれもが同大会の公式ポスターに採用されたほか、道の駅「ながおか花火館」には、父親、清次さんの作品が展示されている。

「大賞は、プロを含めたカメラマンの中から選ばれたものなので、本当に嬉しいです。でも、実際の花火の美しさは写真の比ではないので、ぜひ多くの人に大会に足を運んでもらいたいと思っています」

 理容店は、明治時代から続く老舗で、木津さんは4代目。27歳のときに、理容の講習会で知り合った恵子さんと結婚し、恵子さんの父親から生長の家の教えを伝えられた。

妻の恵子さんと。右後ろのポスター写真は、「小千谷市片貝まつり」で世界一の大玉を撮った木津さんの作品

妻の恵子さんと。右後ろのポスター写真は、「小千谷市片貝まつり」で世界一の大玉を撮った木津さんの作品

「結婚前、妻から両親共々生長の家を信仰していると打ち明けられたんですが、宗教と聞いて不安になり、信頼する町内の河内トシさんという人に相談したんです。すると、その人も信徒で、『生長の家は素晴らしい教えだ』と太鼓判を押されたため、安心して結婚することができました」

 信仰に目覚めたのは、母親の病気が原因で取り越し苦労ばかりし、不眠症に悩まされていた30歳の頃。長岡教化部(*1)で開かれた青年会(*2)一泊見真会(*3)に参加したことからだった。

「善一元の神様に全托して生きれば、すべてが良い方向に行くと教えられ、心が楽になりました。ふと気づくと不眠症は治り、母親の病気も完治して、私の性格も前向きなものに変わったんです」

 花火の撮影に打ち込むようになったのは、ある時たまたま撮った花火の写真を、写真コンクールで常時入賞していた清次さんが褒めてくれたからという。勧められるままコンクールに出品すると準特選となり、それからやみつきになった。

「父からは、理容師としての誇りと花火への愛情を学びました。花火は一瞬にして散ってしまいますが、だからこそ、いのちの輝きとして人の心に残るものだと思います。これからも、そんないのちの輝きを写真に収め、多くの人と喜びを分かち合いたいと願っています」

 最近は、草花の美しさにも心を惹かれるようになり、店の休日には、撮影スポットを求めて、近郊を飛び回っている。

*1=生長の家の布教・伝道の拠点
*2=12歳以上39歳未満の生長の家の青年男女の組織
*3=生長の家の教えを学ぶ集まり