A 軍備増強に基づく安全保障から、地球温暖化対策に基づく安全保障への転換が必要です。

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 これまで安倍政権は、東アジアや尖閣(せんかく)諸島周辺の海底資源を狙う中国を仮に敵だと見立て、軍備増強に基づく安全保障を進めてきました。しかし、こうした政策では、もはや平和を守れません。今や安全保障とは、決して軍事的な手段だけで行われるものではないからです。

 21世紀になって重視されている安全保障は地球温暖化対策です。なぜなら、すでに2007年には国連安全保障理事会で議論されたように(*1)、地球温暖化は大規模な気候変動をもたらし、世界の安全と安定を脅かしているからです。たとえば、シリアでは、気候変動による旱魃(かんばつ)で200万人もの人々が都市部へ押し寄せたことで、社会不安とイスラーム教内部の対立が発生し、内戦が勃発(ぼっぱつ)しました。その結果、大量の難民がヨーロッパへ流入し、その受け入れをめぐってEU(欧州連合)の内部に亀裂(きれつ)が生じ、イギリスがEUからの離脱を決める一因となりました(*2)。

 地球温暖化は、石油や石炭、天然ガスなどの「地下資源」に依存する現代人の生活によってもたらされました。そのため、温暖化を解決するには、私たち一人ひとりが地下資源の利用を減らし、太陽光やバイオマス(生物資源)、地熱のような、自然環境と調和した循環型の「地上資源」の利用に切り換えていく必要があります(*3)。この切り換えが進めば、有限な地下資源を奪い合わなくなるので、他国を敵に見立てる必要がなくなります。

 また、自然環境の破壊を食い止めることができるので、食糧や水をめぐって争ったり、難民が増えて社会不安が増したりするのを防ぐことができます。

 こうした大転換が必要な時期に、軍備増強だけに頼る安倍政権の安全保障政策は誤りだと言えます(*4)。これに対して生長の家は、自然と調和したライフスタイルの実践に基づく“新しい文明”の構築を通して、軍事力だけに依存しない安全保障を実現することが大切だと考え、自ら実践すると共に啓発活動を世界で展開しています。

*1生長の家総裁・谷口雅宣監修『“人間・神の子”は立憲主義の基礎 』62ページ。生長の家刊
*2、3前掲書。64ページ *4前掲書。65ページ