A “人間・神の子”の教えは、基本的人権が尊重されるべき根拠になるという点において立憲主義の基礎であるという意味です。
立憲主義の役割は、基本的人権を保障することにあります。基本的人権とは、人が生まれながらにして持っている権利と自由のことです。この権利と自由は、どんな人でも持っている、決して侵害してはならない基本的価値です。
人間に価値を認める考え方は、宗教にも見られます。
たとえば、旧約聖書の創世記には、「神は自分のかたちに人を創造された」(第1章27節)と書かれています。また、新約聖書の福音書には、神を「あなたがたの父」「あなた方の天の父」とする表現があります。
一方、大乗仏教(だいじょうぶっきょう)の『大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)』には、「一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)(すべての生きものは仏性を持っている)」と書かれています。さらに、日本古来の神道(しんとう)では、「男性を『日子(ひこ)』、女性を『日女(ひめ)』と称して、天照大神(あまてらすおおみかみ)の一種の“分身”のように把(とら)える思想が養われてきました(*)」
このように宗教は、人間にはもともと神や仏と同じ性質が宿っていると説きます。つまり、宗教が説く人間の価値は“どんな人でも生まれながらに持っている”“神や仏の本質を宿している=侵すことができない”という点で基本的人権と共通しているのです。そのため、人間の宗教的価値は基本的人権が尊重されるべき根拠だと考えることができます。
この考え方に従えば、“人間は神の無限の表現として一人ひとりがかけがえのない絶対価値を持つ”と考える生長の家の“人間・神の子”の教えも、基本的人権が尊重されるべき根拠となります。その基本的人権を保障するのは、立憲主義です。そのため、「“人間・神の子”は立憲主義の基礎」だと言うことができるのです。
基本的人権の尊重は、1948年に国連で採択された世界人権宣言によって世界共通の理念となっています。つまり、“人間・神の子”の教えは、人類共通の理念を宗教的に基礎づけていると言えるのです。(生長の家国際本部国際運動部講師教育課)
* 生長の家総裁・谷口雅宣監修『“人間・神の子”は立憲主義の基礎 ──なぜ安倍政治ではいけないのか?』16ページ、生長の家刊