宮崎県串間市、日南海岸国定公園の最南端に位置する都井岬(といみさき)を訪れたのは、2019年6月のことでした。
熊本県錦町の自宅から車を走らせて2時間半、お昼頃に都井岬に着きました。梅雨の最中だったにもかかわらず、天気がよく、日向灘が一望の下に広がっていて、550ヘクタールに及ぶ草原では、野生の馬として知られる御崎馬(みさきうま)が、のんびりと草を食んでいました。
サラブレッド種と比べると小柄でずんぐりとしている御崎馬は、1953年、日本にいる8種の在来馬の中で、唯一、国の天然記念物に指定された貴重な存在です。
その歴史も古く、1697年(元禄10年)、日向国(宮崎県)の高鍋藩秋月家が、軍馬を生産するために御崎牧(現在の都井岬)に牧場を設けたのが始まりです。当時から極めて自然に近い形で放牧、繁殖が行われ、以来、今日に至るまで300有余年にわたって、御崎馬は自然の摂理のままに生活しています。
私が行ったその日は、あいにく御崎馬の群れが山の上の方にいたため、やむなく山頂付近に佇む一頭を狙って写真に収めました(写真1)。しかし、帰り際に親子が現れ、子馬が近づいて来てくれたので、すかさずパチリ(写真2)。あまりの可愛さに頬が緩みました。
場所や季節によっては、日向灘から昇る朝日や南西側に沈む夕陽も見られ、こうした景色とともに御崎馬を写真に撮ることができるため、折を見て再チャレンジしたいと思っています。
(次回は、熊本県阿蘇郡高森町にある、「異世界への入り口」として話題を集めている上色見熊野座神社を紹介します。)
坂崎和佳
さかざき わか/昭和51年生まれ。美容師歴27年。熊本県球磨郡錦町在住。「ヘアサロンDeaR」を営む傍ら、カメラライフを楽しんでいる。思うように撮れないことも多く、試行錯誤しながら日々奮闘中。生長の家白鳩会員。本誌No.114(2019年9月号)「美のステージ」に登場。