周囲に愛を表現しながら、明るい希望を持って過ごしましょう


|心の若さを保つには|

 いつの時代も人は皆、幸福な人生を歩みたい、そして明るく、親切な愛深い人になりたいと願っているものです。明るい希望を持つことは気持ちを前向きにし、心に若さを与えてくれます。さらに周囲の人を喜ばせようと愛を与えることは生きがいにもつながり、愛の雰囲気が溢(あふ)れてきます。

 谷口純子・生長の家白鳩会(*)総裁は、
自分のことだけではなく、人のために何かができる自分。人を受け入れて、祝福することのできる自分。それができた時、自分の存在を肯定し、認め、生きがいを感じ、生活の喜びにつながる。これを習慣化することが大切だ。
 日々の暮らしの中で、『人のためになる、良いことを為そう』との大いなる願いを持って生きることが、人を若く潑剌とさせる」(『46億年のいのち』(生長の家刊)161ページ)
と説かれています。

 この特集に登場された高島夏子さんも、永年の夢を実現したいと希望を抱き、お客様に喜んでいただきたいと愛念をもって明るく意欲的に美容師の仕事を続けることで心も若返り、諦めかけていた夢を叶えることができました。

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|自分と他人とは一体|

 生長の家では、人間の本質は神の子で、神の無限の知恵と愛と生命に満たされ、生かされていて、すべての人は神において一体であると説きます。人と人とは一見離れた存在のように見えても、心の底ではつながっていて、自分と他人とは本来一体の存在なのです。

 だから、私たちが人のお役に立ちたいと強く願う時、常に若く、一層新しい生命力と知恵と愛とが自然と湧き出てきて、希望実現に向かって意欲的に取り組むことができ、それが実現した時に、喜びや生きがいを感じ、自分を誉めることができるのです。

 生かされているいのちに感謝し、周囲の人の喜びを自分の喜びとして愛を表現しながら、明るい希望を持って過ごしていきましょう。(橋本定子・生長の家本部講師)

* 生長の家の女性の組織

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【手記】お世話になった方々への恩返しの気持ちが、明るく生きる原動力

 

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高島夏子(70歳) 北海道北見市
高島さんが経営するナツ美容室で(撮影/加藤正道)

 私は7人きょうだいの6番目で、貧乏子沢山の家庭で育ちました。父は漁師でしたが、私が小学6年生の頃から体調を崩して仕事を休みがちになり、私が中学校を卒業する時分も家庭の経済状況は厳しく、高校進学は諦めて美容室に住み込みで働き始めました。

 朝5時に起きて掃除洗濯と食事の支度から一日が始まり、日中は掃除やパーマ用ロッド洗いなどのアシスタント業務、夜9時頃に帰宅してからは美容師免許取得のための通信教育に追われる日々でした。そんな下積み期間が4年ほど続きましたが、歯を食いしばって頑張りました。そして、19歳の時についに免許を取得し、美容師としての人生が本格的に始まりました。

 美容師の仕事はとてもやりがいがあり、いつか自分のお店を持ちたいという思いが時が経つにつれて増していき、31歳の時に一念発起して独立し、美容室を開業しました。最初は借金もあり大変でしたが、地元のお客様に支えられて何とか軌道に乗り、今年で開業39年目となりました。

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高島さんの気持ちを奮い立たせた書が、美容室に飾られている(撮影/加藤正道)


長年の夢を叶える

 常連のお客様の中に書道の先生がいらっしゃいます。令和2年の秋にその方の書展を見に行った際、「扉は開く幾たびも扉に挑む」という書道作品に感銘を受けました。実はその時の私は、資金もないし、もういい年だしと、若い頃からずっと描いていた夢を諦めかけていました。しかしその書を見て、もう一度夢への扉を開けて挑んでみようという意欲が湧いてきたのです。

 私の長年の夢とは、お客様にゆっくり休んでリラックスしていただく部屋を美容室に作ることでした。私の店のお客様は開業当初から通ってくださっている方ばかりで、大切なお友達でもあり、この部屋を「ハッピールーム」と名づけ、皆様に喜んでもらいたい一心で動き出しました。

 まずは毎晩、「長年支えてくださっているお客様、皆様に感謝いたします。ありがとうございます。ご恩返しのためのハッピールームは無事完成しました」と声に出して念じるようにしました。するとある日、知り合いの大工さんの顔が浮かんできたので、その大工さんに電話で相談しました。

 すると、「安くやってくれる、腕のいい大工を知ってるから」と快く紹介してくれました。しかもその大工の方は書道の先生の学生時代の同級生で、友人だったのです。このご縁は神様のお導きに違いないと思い、ハッピールームは絶対に願った通りに完成すると確信しました。

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 そして令和3年6月に、ハッピールームは無事完成しました。美容室の奥に6畳ほどの広さの部屋を増築し、南と北の壁にはお客様の幸せを祈願して、聖経『甘露の法雨』(*1)のお守りをはめ込んでもらいました。綺麗なお花や可愛い小物を窓辺に置き、ゆったりしたソファーや椅子に座って休める、癒しの空間となりました。

 ハッピールームでは、混んでいる際の待ち時間や髪のカットが終わった後に、お茶をお出しして読書や雑談などしながらゆっくり休んでいただく場所にしています。お客様からは、「癒やされる」「心が穏やかになる」「ずっとここにいたい」などの喜びの声をいただいています。また、お客様への贈呈用の聖経『甘露の法雨』のお守りと『白鳩』誌をはじめ生長の家の月刊誌も常に置いてあり、興味をもって下さった方に差しあげています。

 ハッピールームの窓から見える庭では、色とりどりの花を育てています。そしてそのお花を小さな花瓶などに生けて、美容室の玄関やお手洗い、鏡の前や窓際などに飾っています。お客様が「綺麗なお花だね。なっちゃんいつもありがとう」と言って喜んでくれると、疲れていても元気が出てきます。

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ハッピールームで(撮影/加藤正道)

 また、お客様には髪だけでなく、心も明るく綺麗になって帰っていただきたいので、ハッピールームで悩み相談に乗ることも多くあります。自暴自棄になって人を恨んでいるようなお客様には、頭をポンと叩いて、「自分を大事にしないと他人も大事にできないよ。まずは自分を好きになって、そして周りの方に感謝しようね」と言葉をかけるようにしています。そんなふうに言ってもらえて嬉しいと、泣きながら感謝してくれたお客様もいました。

 でも、お客様にアドバイスしつつ、自分に言い聞かせている部分もあります。かつて私も人を恨んでうつ状態になっていた時期があったからです。

姑との確執、そして許しと感謝

 私は23歳で結婚し、27歳の時に主人の父が亡くなったのをきっかけに北見市にある主人の実家に移り住み、姑との同居生活が始まりました。しかし姑とは折り合いが悪く、「あんたは嫌いな嫁だった」と言われ、網走にある実家には、お盆や正月に一度も帰してもらえない日々が続きました。

 そんな生活も、私が46歳の時に姑が亡くなり、唐突に終わりを告げました。しかしその後、たびたび過去の辛い記憶が蘇り、長年心の奥底に蓋をして沈めていた姑への怒りと憎しみが、堰を切ったように溢れてきたのです。恨む心でいると食欲もなくなり、笑うこともできなくなってしまいました。

 そんな鬱々とした日々が続き、1年ほど経った頃、同じく美容師をされている平林千穂子さんと仕事の関係で出会いました。平林さんとは、すぐ意気投合し仲良くなりました。ある日、亡くなった姑への憎しみから解放されず、辛い日々を送っていることを平林さんに相談すると、「許そうね。いい話が聞ける楽しい会があるからおいでよ」と言われ、平林さんのお宅で開催されている誌友会(*2)に誘われました。

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 誌友会では、参加者の皆様の明るさと、手料理でもてなしてくださる平林さんの思いやりに感動しました。毎月誌友会に参加するようになり、人の良い所を見て人を許し、感謝することの大切さ、ご先祖様、両親に感謝することの大切さなどを学びました。ですが、最初は教えられたことを素直に実行することができませんでした。

 実は、私は父のことも恨んでいたのです。父は酒乱で荒っぽく、酔っ払うと母に物を投げたり、罵声を浴びせることが頻繁にあり、そんな父のことが嫌いでした。しかし、父は私が25歳のときに心筋梗塞で亡くなり、和解の機会を失っていたのです。

 しかし、人を恨み続ける人生は本当は嫌なので、まずは誌友会で教えられたように「大調和の神示」(*3)を唱えるようにしました。最初は、「父母に感謝せよ」「一切の人々に感謝せよ」と書かれている箇所を読むと、父や姑を心の底から許し、感謝できないことに罪悪感を感じてしまい、涙をこらえることができませんでした。それでも唱え続けていると、次第に父や姑への恨みは薄れていき、感謝の気持ちが湧いてくるようになりました。

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色とりどりの花が咲く庭。「美容室開業当初から、庭でお花を育てていて、美容室の玄関や鏡の前に飾っています」(撮影/加藤正道)

 それからは、練成会(*4)の先祖供養祭にも定期的に参加しました。私と主人がこの世にいるのはご先祖様のおかげであり、亡くなった父や姑をはじめ、すべてのご先祖様を心を込めて供養するようになりました。

 生長の家の教えと出合ってから数年経ったある日、ご先祖様をはじめ、周りの方々、恨んでいた父や姑にも感謝してから眠りにつきました。すると夢に父が出てきて、「夏子のおかげで、父さんは今幸せだよ。ありがとう」と言ってくれました。次に姑が出てきて、「なっちゃんのおかげで、今最高の所、天国にいます。ありがとう」と言ってくれたのです。この夜、私は初めて長年恨んでいた父と姑を心の底から許し、感謝することができました。

若々しく生き生きと過ごす秘訣

 生長の家と出合う前の私は、体が弱く、よく風邪を引いていました。しかし、生長の家に出合って心が明るくなり、常に周りに感謝し、愛を与える生活を心がけるようになってからは、風邪はまったく引かなくなりました。

 また、お風呂に入る時、自分の体に感謝することを長年続けています。「足さん、今日も体重を支えてくれてありがとう。指さん、今日も鋏と櫛を持ってくれてありがとう。喉さん、肩さん、口さん、目さん、ありがとう」と、体全体に感謝の言葉を毎日かけていると、体もそれに応えてくれて、いつまでも若々しく健康でいられるのです。

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「髪も心も綺麗にさせていただいています」(撮影/加藤正道)

 そして、常日頃から日時計主義の生き方(*5)を心がけています。一見不幸な出来事が起きても、良い面を見るようにしています。転んで足を痛めても、「仕事で使う手じゃなくてよかった」と口に出すようにしています。人生は辛いことや悲しいことも時にはありますが、日時計主義の生き方のおかげで明るく生活することができています。

 私が様々なことに明るく生き生きと取り組めるのは、皆様のお役に立って喜ばれることに一番の幸せを感じているからです。これからも明るく元気に日々頑張っていきたいと思います。

*1 生長の家のお経のひとつ。現在品切れ中
*2 教えを学ぶつどい
*3 生長の家創始者・谷口雅春先生に下された言葉
*4 合宿形式で教えを学び、実践するつどい
*5 日々の生活の中の喜びや感動、明るい出来事などに心を向ける生き方