Q 父方の90歳になる祖父が脳梗塞で失語症になりました。
 
 祖父は初孫である私を可愛がってくれたのですが、小さい頃から、横暴で身勝手な祖父が嫌いで、隣の家に住んでいたものの、近づかないようにしていました。しかし、祖父がそんな状態になって、私にできることはないかと考えるようになりました。少しでも祖父と心を通わせて見送りたいと思っているのですが。(F・S、38歳、男性)

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A お祖父様の身になって考え、感謝の言葉を伝えて下さい
 
 私の場合は祖父ではなく父ですが、乱暴だった父を嫌っていましたので、あなたのお気持ちは大変よく分かります。私自身の体験を踏まえて、あなたにお勧めしたいのは、「お祖父様の身になって考えてみる」ということです。

 私の父は、お酒を浴びるほど飲んで大暴れしたり、母を殴ったりすることがありました。そうした父の姿を近くで見ていたので、いつしか父を憎むようになりましたが、考えてみれば、父がそんなことをしたのは、自営の仕事がうまくいっておらず、借金取り立ての電話が頻繁に家にかかってきていたせいでもありました。つまり、父は心の中に、不安をいっぱい抱えて生きていたのです。

 そのようにして父の身になって考えてみると、父の良い面にも気づくようになりました。朝早く起きて仕事に出かけていたことや、時々お寿司屋さんや銭湯に連れて行ってくれたこと、映画『男はつらいよ』が大好きだったこと……。さらには、父が私を愛してくれていたことにも気づいたのです。すると、父親に対して優しく接することが自然にできるようになり、父はとても喜んでくれました。

 谷口雅宣・生長の家総裁の『大自然讃歌』(生長の家刊)には、「人間は他者を思いはかること/地上の生物随一なり。/(中略)この自他一体の想いこそ/人の人たる所以なり」(33〜34頁)と説かれています。

 どうぞあなたも、自他一体の思いをもってお祖父様の身になって考えてみてください。そして、初孫であるあなたを可愛がってくれていた思い出を語り、「ありがとう」と言ってみてください。お祖父様にとって、それが何よりも嬉しいことに違いありません。

回答者:山中優(やまなか・まさる)
(生長の家本部講師補)

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