A 人間が生まれながらにして持っている権利のことです。
憲法の目的は、「国民の人権を保障する」ことですが、そもそも人権(基本的人権)とは何でしょうか。
人権とは、簡潔に言えば、「人間が生まれながらにして持っている権利」のことです。この人権の思想がヨーロッパで形成されたのは比較的新しく、17〜18世紀のことでした。国家の存在を前提としない状態において、人間が生命や自由、財産を保持する権利(自然権)が基になっており、言い換えれば、「国家権力をもってしても奪うことのできない権利」ということになります。
第13条の「幸福追求権」とは
日本国憲法は、この人権思想を受け継いでおり、条文の中で核心的な位置を占めているのが第13条です。
その前段には、「すべての国民は、個人として尊重される」と書かれています。人間は皆、かけがえのない価値をもった存在だからこそ、その人格は等しく尊重されなければならないという、人権を支える「個人尊重」の原理が明確に示されています。さらに言えば、過去の教訓から、個人よりも全体を優先させる「全体主義」が否定されているのです。
それに続く後段には、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とあります。
ここで述べられている権利は、略して「幸福追求権」、あるいは「包括的基本権」と呼ばれています。包括的ということの意味は、第14条以下に具体的に書かれている、各種の権利や自由を包括するものということです。この「幸福追求権」は、人権の全体に共通して適用される規定であると解釈されています。
日本国憲法では、この第13条に続いて第40条までに、「法の下の平等」「自由権」「社会権」「参政権」など、様々な人権の条項が掲げられています。次回は、人権の種類や分類について考えます。