環境は心の影。相手の善性を信じ、愛と感謝の心で接しましょう

 
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心の思いが現れる

 
 日常生活において良い人間関係を築くことは大切です。人との関わりがうまくいくかどうかは、人生に大きな影響を与えます。

 こんな話があります。Aさんは、あるアパートに住んでいたのですが、隣室のテレビの音がうるさいので別のアパートに引っ越しました。ところが今度は、向かいの部屋の住人が大きな声で話をするので苦情を言ったが、改まらないため、また別のアパートに引っ越したそうです。そうしたら今度は、上の階に住む夫婦の子どもが騒いで、うるさかったというのです。

 Aさんはたまらず、生長の家の講師に相談しました。するとその講師は、「生長の家では“環境は心の影”と教えています。あなたがアパートを次々と替わらなければならない原因は、あなたの心にあるのではないですか。愛と感謝が欠乏したあなたの心が、隣人の姿となって現れているのです。もっと人の善性を信じて、相手を愛する心を持つことです。今日から周りの人に愛と感謝の心で接するようになさい」と指導をされました。
 
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感謝と和解

 
 それからしばらくして、Aさんから電話があり、「ご指導して頂いたように、周りの人々にできるだけ愛と感謝の心で接するように心がけましたら、毎日快適に暮らせるようになりました」と、感謝されたそうです。

 生長の家の「大調和の神示」には、「汝(なんじ)ら天地一切のものと和解せよ。天地一切のものとの和解が成立するとき、天地一切のものは汝の味方である」と示されています。そして、「和解せよ」とは「感謝せよ」との意味だと説かれています。感謝の心は、人との関係を調和させる“特効薬”なのです。
* 生長の家創始者・谷口雅春先生に下された言葉
(堀端芳樹・生長の家本部講師)
 


 

【手記】両親や周りの人々への
「感謝」を取り戻し、
職場の人間関係が好転する

 
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匿名(49歳)
大阪府

 私は29歳で結婚し、男の子2人、女の子3人の子宝に恵まれました。子育てに追われる日々が長く続きましたが、44歳の頃、一番下の子が幼稚園に通い始めて少し余裕が出てきたので、子育てをしながらパートタイマーとして働き始めました。

 最初は倉庫内作業の仕事でしたが、そこで仲良くなった方と些細なことで喧嘩になり、気まずくなったため1年で辞めてしまい、次に高校の食堂の調理補助の仕事に就きました。

 しかし、上司が私の数カ月後に入ってきた後輩ばかりを優遇するので、「そういう差別はやめてほしい」と上司に訴えましたが聞き入れてもらえず、また1年後に辞めることになりました。

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 職場の人間関係が二度もうまくいかず、5人の子育てをしながら働くのは難しいのかもしれないと思い、しばらくは家事に専念していました。そんな生活を続けるうちに、下の2人の子どもが小学生になったこともあり、もう一度仕事に挑戦してみようという気持ちが湧き、48歳の頃に回転寿司店で働き始めました。

 しかし、そこでも厳しい女性上司に当たってしまい、また心が折れそうになったのです。調理を担当する部門だったのですが、「切り方も汚いし、そんなゆっくりしてたら間に合わないから早くして」などと厳しい叱責を受けることが頻繁にありました。

 それまで、仕事がうまくいっていないことを知られるのが恥ずかしくて誰にも話していませんでしたが、子育てに悩んで参加していた生長の家の母親教室*1の講師に、意を決して相談しました。すると講師から、「環境は自分の心の投影であり、相手は自分の心の鏡です。自分が変われば相手も変わります。また、ご両親に感謝していますか? まずはご両親に感謝し、次に周囲のすべての方に感謝することが大切です」と言われました。
*1 母親のための生長の家の勉強会

 そう言われて初めて、自分の家庭のことで精一杯だったため、両親や周囲の方々への感謝を忘れていたことに気づいたのです。

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両親に感謝できるようになり運命が好転

 
 結婚前の私は、仕事も恋愛もうまくいかず、ストレスで円形脱毛症になったりして、体調もたびたび崩していました。「人間は神の子である」と説く生長の家の教えを、祖母や母が学んでいたので、家族に勧められて生長の家宇治別格本山*2の研修生になって自分を見つめ直すことにしました。
*2 京都府宇治市にある生長の家の施設。宝蔵神社や練成道場などがある

 宇治別格本山では、早朝5時に起きて神想観*3を行い、聖経『甘露の法雨』*4を誦げ、感謝行として掃除をしたり、生長の家の書籍を読んで教えについて学ぶ日々を送りました。すると心身ともに少しずつ回復していきました。
*3 生長の家独得の座禅的瞑想法
*4 生長の家のお経のひとつ。現在品切れ中

 しかし、聖経『甘露の法雨』の冒頭の神示*5にある「神に感謝しても父母(ちちはは)に感謝し得ない者は神の心にかなわぬ」という一節を読むたびに胸が痛みました。なぜなら、両親に対してずっとわだかまりを抱いていたからです。私を自分の枠にはめようとする母への反発や、事故で片足を失い義足だったため、あまり遊んでくれなかった父への不満などが、いつも心にありました。
*5 生長の家創始者・谷口雅春先生に下された言葉

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 ある日、宇治別格本山の練成会*6で行われた浄心行*7に参加し、配られた用紙に抱えているネガティブな思いをすべて書き出しました。そして、皆で聖経*8を誦げる中でその紙が焼却された後、畳を両親の背中に見立てて洗い流すつもりで雑巾で拭きながら「お父さん、ありがとうございます。お母さん、ありがとうございます」と繰り返し唱えていると、両親への感謝の思いで胸がいっぱいになり、それは涙となって止めどなく溢(あふ)れました。
*6 合宿形式で教えを学び、実践するつどい
*7 過去に抱いた悪感情や悪想念を紙に書き、生長の家のお経『甘露の法雨』の読誦の中でその紙を焼却し、心を浄める行
*8 生長の家のお経の総称

 母は私のことを愛しているからこそ、心配のあまり過保護になっていただけなのだ。父は義足で歩くのも大変なのに、家族のために毎日一所懸命働いてくれていた。そのことを心の底では分かっていて、本当は私はずっと前から両親を愛し、感謝していたんだと、気づくことができたのです。

 浄心行をきっかけに両親に感謝できるようになると、自然と周囲の方々への感謝の気持ちも湧き、心はどんどん明るくなっていきました。さらに、研修生のときに出会った男性と結婚することもできたのです。

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感謝行で人間関係が改善する

 
 研修生の頃は、確かに感じていた両親と周囲への感謝の気持ちを取り戻すため、早速感謝誦行*9を始めました。時間を見つけては「ありがとうございます」と口に出して唱(とな)えながら、両親や周囲の方々の笑顔を頭の中に思い描くようにしました。電車の中などでは、口に出さず繰り返し感謝の言葉を念じるようにしました。
*9 「ありがとうございます」と感謝の言葉を繰り返し唱える行

 また、両親に「いつも野菜やお米を送ってくれてありがとう。今までは当たり前だと思ってしまいがちだったけど、本当に感謝しているよ」と伝えると、「みゆきと孫たちの幸せが私たちの幸せだから、気にしなくていいんだよ。こちらこそありがとう」と言ってくれました。

 両親との関係が良好になり、心に余裕が出てくると、職場で人間関係がうまくいかなかった理由に気づきました。5人の子どもを育てながら夫を支える生活を送っていると、家庭の悩みで頭がいっぱいになってしまい、職場では相手の立場に立って考え、相手を思いやる余裕がなくなってしまうこともありました。

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 上司の立場になってみれば、お客様にご満足いただくため、料理のクオリティーと提供するスピードを上げようとして部下を厳しく指導するのは、責任感の表れだということに気づいたのです。

 心に余裕がなかったことを反省し、育児をしながら働くことを選んだのは自分なので、これからは職場でも精一杯頑張ろうと決意しました。心を入れ替え、職場でも常に感謝の気持ちでいると、貢献したいという思いが強くなって、仕事がどんどん速く正確に出来るようになっていきました。

 そして、厳しかった女性上司からも「最近頑張ってるね。とても助かるよ、ありがとう」という感謝の言葉をいただけるようになったのです。

 常に感謝の気持ちでいると同僚の皆様とも打ち解けることができて、他愛ないおしゃべりで盛り上がるとても楽しい職場となりました。これからも周囲の人たちへの感謝の気持ちを持ち続けていきたいと思います。